近年、データ駆動の意思決定がビジネスの現場でますます重要となり、その一方で「Excel疲れ」を感じている方々も増えてきました。
Excelは便利なツールである一方、複雑で大量のデータを効率的に管理するには限界があると感じている方も少なくないのではないでしょうか。
では、手軽でサクッと作成でき、便利な面もたくさんあるのですが、今後ビジネスを進める上でExcel管理ではいずれ限界を迎えるのではないでしょうか?
そんな不安を解消するための新たな解はあるのでしょうか。
Excelの限界
Excelはその手軽さからビジネスで広く使われてきました。しかし、大規模なデータ管理や複雑なデータ操作を行うときには、Excelの限界を感じることもあります。
データ整合性
データの整合性の維持が困難な場合が一つあります。
Excelでは、手動で一貫性のチェックを行わなければならず、その過程でエラーが発生しやすいです。人的ミスはその人のせいでしょうか?それとも仕組みのせいでしょうか?
私は後者を疑います。
リレーショナルデータベースでは、一貫性チェックを実施するための機能、例えば外部キー制約が提供されています。
例えば、商品テーブルと注文テーブルがあるとします。注文テーブルには商品テーブルの商品IDが外部キーとして格納されています。このとき、商品テーブルから商品が削除された場合、その商品IDを参照している注文は無効となります。
しかし、リレーショナルデータベースでは外部キー制約により、そのような不整合性が発生することを防ぐことができます。対してExcelでは、このような一貫性のチェックは一捻りする必要があります。
データ量
データ量についてもExcelは制限があり、大量のデータを管理する際に制約となります。 Excelの各バージョンには行数や列数の制限があります。
例えば、Excel 2019では一つのワークシートあたりの行数は約100万行、列数は16384列が最大です。
一方、リレーショナルデータベースは理論上は無制限のデータを扱うことができ、テラバイト以上のデータを効率的に管理できます。
同時アクセス
同時アクセスにも問題があります。複数のユーザーが同時にExcelを編集すると、競合が発生しやすく、データの整合性が損なわれる可能性があります。
複数人で管理しているファイルがあるとします。変更を加えたいのでそのファイルを開いたところ、「他の人が使用中です・・・読み取り専用で開きますか?」のメッセージが出てげんなりした経験はありませんか?
そのたびに、「誰か開いていませんか?」とお伺い・・・、中にはファイルを開いたまま外出する強者もいます。
Excelは複数のユーザーが同時に編集すると、同一のデータを更新した場合に最後に保存したユーザーの変更だけが反映され、それ以前の変更は失われてしまいます。これに対して、リレーショナルデータベースではトランザクションという概念を用いて、複数のユーザーが同時に同じデータを操作した場合でも、データの整合性を保つことができます。
セキュリティ
セキュリティの面でも、特定の行や列を特定のユーザーだけに制限することが難しいです。
リレーショナルデータベースでは、ユーザーごと、またはユーザーグループごとに、特定のテーブルやレコードへのアクセス権を設定できます。例えば、顧客情報を扱うテーブルは、顧客サービス部門のみがアクセスできるように設定することが可能です。
一方、Excelではこのような細かいレベルでのアクセス制御は難しいです。
クエリ能力
クエリ能力についても、Excelのデータ検索と分析機能は限定的で、複雑なデータ操作やクエリが難しいです。これらの問題は、ビジネスの現場で頻繁にデータを扱う方々にとって、大きなストレスとなります。
リレーショナルデータベースではSQL(Structured Query Language)を使用します。SQLは強力なデータ操作と分析を可能にするクエリ言語であり、複数のテーブル間での関連付け、数値計算、集約処理、ソート、フィルタリングなど、非常に複雑な操作を可能にします。例えば、特定の条件を満たす顧客のリストを取得したり、売上の合計を計算したり、特定の時間範囲に発生したトランザクションをフィルタリングしたりといったことが可能です。
これに対して、Excelでは基本的なフィルタリングや並べ替え、簡単な計算は可能ですが、複雑なデータ操作や分析は比較的難しいです。例えば、複数のシート間での複雑な結合やフィルタリングは手間がかかることが多いです。
リレーショナルデータベース
これらの問題を解決するための解は、リレーショナルデータベースの活用です。リレーショナルデータベースは、大量のデータを効率的に管理し、一貫性のチェックや整合性を保つための機能を提供します。
また、リレーシンショナルデータベースは同時アクセスとデータの整合性を管理する仕組みが組み込まれており、Excelのような競合問題を防ぐことができます。また、細かいレベルでのアクセス制御も可能で、特定のユーザーやグループだけに特定のテーブルやレコードへのアクセスを許可するといったことが可能です。
さらに、リレーショナルデータベースではSQL(Structured Query Language)というクエリ言語を使用し、複雑なデータ操作と分析が可能です。これにより、効率的にデータを検索し、分析することが可能になります。
しかし、リレーショナルデータベースの導入や管理は専門知識が必要であり、簡単に導入できるとは言えません。そこで、Excelの手軽さとリレーショナルデータベースの強力さを兼ね備えた新たな解が求められます。
Google AppSheet
その一つの答えが、Google AppSheetです。AppSheetはGoogleが提供するノーコード開発プラットフォームで、Excelやスプレッドシート等のデータを直接インポートし、独自のアプリケーションを作成することが可能です。これにより、ユーザーは手軽にデータ管理アプリケーションを構築し、Excelのデータを更に活用することができます。
AppSheetでは、データの整合性を保つ機能や複雑なデータ操作、多数のユーザーによる同時アクセスなど、リレーショナルデータベースの主要な機能を備えています。また、ユーザーのアクセス制御やセキュリティ対策も万全です。
さらに、AppSheetはノーコードプラットフォームであるため、コーディングの知識がなくてもアプリケーションを作成することが可能です。
このため、Excelユーザーでも導入ハードルが低く、その利便性と強力さを体験することができます。
まとめ
Excelは強力なツールですが、データ管理の規模や複雑さが増すにつれ、その限界を感じることがあります。そのため、新たなデータ管理ツールの導入が必要となります。
リレーショナルデータベースはその一つですが、専門的な知識を必要とする上、構築するにも相当な作業が必要になります。
そこで、AppSheetのようなノーコードのデータ管理プラットフォームを採用することで、Excelの便利さを保ちつつ、リレーショナルデータベースのような高度なデータ管理機能を取り入れることが可能になります。AppSheetはデータの整合性を保つ機能、複雑なデータ操作、多数のユーザーによる同時アクセス、セキュリティ対策などを備えており、専門的な知識を必要とせずにアプリケーションを作成することができます。
「Excel疲れ」に悩む方々へ、新たなデータ管理の解としてAppSheetを検討してみてはいかがでしょうか。AppSheetは、我々がデータに対するアプローチを一新し、より効率的かつ効果的なデータ管理を実現するための新たな道具となります。
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